利根運河周辺の湿地・斜面林・里山の広がり

'03.2.18 最終更新

利根運河からみた三ヶ尾の秋の田 三ヶ尾の谷津田と斜面林 香取神社裏の湿地林

千葉県野田市と柏市・流山市の境を、利根川から江戸川に注ぐ8.5キロの利根運河が走っている。運河としての開削は明治のことだが、それ以前は湿地帯をつなぐ川 が蛇行していて、雑木林に囲まれた湿田が広がっていた。現在、千葉県北部 では有数の猛禽類の種数の多い場所(オオタカ・サシバ・フクロウ・ノスリ の4種繁殖、ハヤブサを含め15種が棲息確認)らしい。また絶滅危惧種の 草原性の草花も見られる。運河自体は全体をコンクリートで固めたスーパー 堤防式ではなく、土手斜面から湧き出す水が湿地を作って、河畔林も一部に 見られる。周囲の水田を含めて、水鳥の数が多く、その餌となるカエルなど も大量に繁殖している地域だ。

「サシバの道・水の道」(新保國弘)によれば、猛禽類の生態をよく知っている鷹匠の室伏さんが、「オオタカは当然だが、サシバはなお守るべき」と言っておられるという。オオタカは都市のドバトなども餌にするが、サシバは林縁に留まって主に爬虫類を狙う。爬虫類の豊富な(即ちその餌が豊富で棲息環境が豊かな)場所が維持されないとサシバは棲めないから、その意味での質的な環境選好性は強いということだろう(「荒川ビオトープ」もまた自然生態系の回復の指標としてサシバの棲める自然を目標にしたという)。そして、クモ(特に徘徊性)の種類と量の多さは、両生類・爬虫類の多さと相関しそうだ。そんな生物多様性の一面を探るため、この地域のクモに注目してみることにした。

以下の書籍が地域へのよい案内役となる。

サシバの道・水の道・利根運河を考える」(新保國弘・崙書房)
「歩いてみよう 利根運河」(自然通信社

利根運河沿いには、大青田、香取神社裏、三ヶ尾の3つの大湿地があり、 谷津田休耕田が散在する。運河に注ぐ水路が幾つか南北に走り、水鳥が群れ ている。台地斜面林の雑木林、旧家の屋敷林を拠点に猛禽が行き来する。 運河と合わせてこれらのビオトープの組み合せを考えると、非常に豊かな 里地環境であるといえよう。

野田市三ヶ尾で計画されている江川土地区画整理事業予定地および周辺地域のオオタ カを含めた猛禽類生態調査の結果がまとまり、利根運河の生態系を守る会・NPO さとやま・東葛地域自然文化研究所・日本野鳥の会千葉県支部の各代表が、柏記者 クラブで記者会見を行った。その記者会見の内容が東京新聞、読売新聞、毎日新聞、 3紙の2002.7.17朝刊の千葉版(あるいは東葛版)に掲載された。

これを期に、地元の方々や行政も巻き込んだ保全の動きが起こってくれば素晴らしい。

ちなみに、01/9/5から02/9/19までに見られたクモ種は、145種。 東京クモ談話会誌にリストと生態系の考察を論文として発表。 そして、この夏、ついに保全の方針が決定!

三ヶ尾を里山ミュージアムとして保全しよう!

2003冬運河塾での講演スライド資料


E 戻る