「サシバの道・水の道」(新保國弘)によれば、猛禽類の生態をよく知っている鷹匠の室伏さんが、「オオタカは当然だが、サシバはなお守るべき」と言っておられるという。オオタカは都市のドバトなども餌にするが、サシバは林縁に留まって主に爬虫類を狙う。爬虫類の豊富な(即ちその餌が豊富で棲息環境が豊かな)場所が維持されないとサシバは棲めないから、その意味での質的な環境選好性は強いということだろう(「荒川ビオトープ」もまた自然生態系の回復の指標としてサシバの棲める自然を目標にしたという)。そして、クモ(特に徘徊性)の種類と量の多さは、両生類・爬虫類の多さと相関しそうだ。そんな生物多様性の一面を探るため、この地域のクモに注目してみることにした。
以下の書籍が地域へのよい案内役となる。
「
サシバの道・水の道・利根運河を考える」(新保國弘・崙書房)
「歩いてみよう 利根運河」(自然通信社)
利根運河沿いには、大青田、香取神社裏、三ヶ尾の3つの大湿地があり、 谷津田休耕田が散在する。運河に注ぐ水路が幾つか南北に走り、水鳥が群れ ている。台地斜面林の雑木林、旧家の屋敷林を拠点に猛禽が行き来する。 運河と合わせてこれらのビオトープの組み合せを考えると、非常に豊かな 里地環境であるといえよう。
→利根運河の生態系を守る会・会報(2002.冬号)に投稿した
「クモ相からみた三ヶ尾の生態系の豊かさ」(会報お求めは同会まで)
野田市三ヶ尾で計画されている江川土地区画整理事業予定地および周辺地域のオオタ カを含めた猛禽類生態調査の結果がまとまり、利根運河の生態系を守る会・NPO さとやま・東葛地域自然文化研究所・日本野鳥の会千葉県支部の各代表が、柏記者 クラブで記者会見を行った。その記者会見の内容が東京新聞、読売新聞、毎日新聞、 3紙の2002.7.17朝刊の千葉版(あるいは東葛版)に掲載された。
・野田市内の利根運河沿いの森で、環境庁レッドリストで絶滅危惧U類に指定されて いるオオタカやハヤブサなど15種類の猛禽類の生息が、利根運河の生態系を守る会 など4つの市民団体の調査で明らかになった。日本で生息が確認されている猛禽類3 9種の約4割を占めるという。
・この地域では宅地造成を目的とする区画整理事業の計画が進められており、同会な ど自然保護団体は今月中に、一帯を自然公園として保全する要望書を野田市、柏市、 千葉県など事業関係自治体へ提出する。
・猛禽類が確認されたのは、「江川土地区画整理事業」予定地を含む半径約2キロの 地域。自然保護団体が1997年から6年間調査を実施した結果、ミサゴ▽ トビ▽ サシバ▽ノスリ▽ハイイロチュウヒ▽チュウヒ▽オオタカ▽ハイタカ▽ツミ▽ハヤブ サ▽コチョウゲンボウ▽チョウゲンボウ▽コミミズク▽フクロウ▽オオコノハズク… の猛禽類計15種の生息行動を確認した。
・このうち、オオタカは2000年3月〜2002年2月まで(調査はさらに継続 中)の2年間、環境アセスメントの手法に則った定点調査(自主アセスメントに相 当)を実施し、最大個体数で6個体を確認した。調査の結果、土地区画整理事業の面 積(約80ヘクタール)の約50%がオオタカの高利用域であることが明らかになっ た。
・同会の新保國弘さんは、「利根運河北側の三ヶ尾に生息する猛禽類の多様性は県内 でも珍しく、積極的に保全するべき貴重な自然財産」と話している。
・計画変更の要望書では、平地水田、谷津田、斜面林、台地林一帯の保全を求める 「三ヶ尾 里山ミュージアム」構想を提案するという。
・根本崇・野田市長は、「自然保護に対する考え方が出されたものと評価している。 これを十分生かしていけるよう話し合いを行い、生態系との調和を第1に考えたまち づくりを考えていきたい」と話している。
これを期に、地元の方々や行政も巻き込んだ保全の動きが起こってくれば素晴らしい。
ちなみに、01/9/5から02/9/19までに見られたクモ種は、145種。 東京クモ談話会誌にリストと生態系の考察を論文として発表。 そして、この夏、ついに保全の方針が決定!